Josaphat Laboratory graduated Takahiro Miyazaki with Master Thesis entitled “Development of GNSS-RO Sensor for Microsatellites. This research support our research on GNSS-RO onboard microsatellite that will be launched in near future under Japanese Ministry of Education and Technology project in FY2013-2016.
宮﨑貴大 : 小型衛星搭載用GNSS-ROセンサーの開発
日本は地震大国であるが,地震発生時に十分な情報を収集する手段が限られているため,急激な変化が起こってから対応に迫られることになる.このような理由で,緊急地震速報システムなど,初期段階での情報提供,注意喚起システムの導入が始まった.しかし,現在使用されている観測システムではデータ収集に限りがあるため,改善する必要である.日本での地殻変動は,国土地理院が設置しているGPS連続観測システム(GEONET)を用いることでリアルタイムな観測データを取得可能である.しかし,観測は基準点を設置できる地上に限られるため,海底の観測や,発展途上国を含む広範囲で連続したデータを取得できない問題点が存在する.これらの問題点を解決するために,高度60㎞から800㎞に存在する電離層を用いた新たな地殻変動観測の方法が研究されている.電離層は比較的周期的な変化が存在するが,地殻変動発生時に 急激に変化することが近年の研究で明らかになった.平成23年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震でも,地震発生直後に震源を中心とした同心円状の変化が電離層に表れている.本論文では,衛星を用いた電離層観測手法で使用される観測センサーの作成を行った.観測センサーは,地球を周回している全地球航法衛星システム(GNSS)の送信する電波が電離層で屈折することを利用し,電離層内を通った信号の遅延を知ることで電子密度を計算している.信号が屈折するのはGNSS衛星が地球を挟んでわずかに見える場合のみであるため,電波掩蔽(radio occultation)法とも呼ばれる.本論文では,GNSSの電波を利用するため作成した観測センサーをGNSS-ROセンサーと呼ぶ.本観測センサーは,GNSSが常に送信している信号のうち,4つの周波数を受信することで電離層の電子密度変化を測定する.受信可能な周波数を増やすことで,一度に取得できる観測データの増加と品質の向上が可能となる.また,小型衛星に搭載を予定しているため省電力で効率のよい円偏波アンテナや増幅器を作成し使用した.