Josaphat Laboratory graduated Bachelor Student, Suguru Nakamoto with Bachelor Thesis entitled “Development of Synthetic Aperture Radar Image Signal Processing,” on 25 March 2011.
中本 傑
合成開口レーダ画像信号処理
現代社会において、深刻化しているのが地球環境問題である。その地球環境問題を地球規模で観測する技術として、人工衛星が注目されている。地球観測を行うセンサは大きく分けて、太陽から放射された電磁波エネルギーを利用する受動型センサと図1-1で示すように、センサのアンテナ自身から放射されたマイクロ波を地球上の観測対象物に照射し、その対象物から散乱された電磁気エネルギーをアンテナで感知し計測する能動型センサに分けられる。しかし、受動型センサの場合、太陽光を利用するため、夜間や雲や霧に覆われた気象条件の下での観測、1年の半分近くが暗闇である北極や南極の観測、さらには日照時間が極端に短い高緯度地域の観測などが困難という問題点があった。一方、能動型センサの場合、太陽光を利用しないため、受動型センサの問題点が改善され、昼夜や天候、地域に左右されずに常に観測できる。
能動型センサの一種として、注目されているのが合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)である。合成開口レーダでは衛星進行方向に対して直交する方向であるレンジ方向でパルス圧縮を行い、衛星進行方向であるアジマス方向では合成処理をそれぞれ行うことによって、高分解能の画像が得られる。一方で、合成開口レーダでは、マイクロ波の地表からの散乱を複素型の時系列のデータ配列として記録しているため、送られてきた画像を見るためには複雑な再生処理を行う必要がある。
現在、ヨサファット研究室では地球診断用の円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)搭載小型衛星と無人航空機(UAV)を開発中であり、円偏波合成開口レーダの信号処理プログラムが必要であるため、本研究ではレンジドップラーアルゴリズムによる円偏波合成開口レーダ画像信号処理プログラムを開発し、更には処理後の画像に対してGoogleマップと比較、重ね合わせなどの検証を行うことを目的としている。