Josaphat Laboratory graduated Bachelor Student, Wissan Victor with Bachelor Thesis entitled “Development of Circularly Polarized Synthetic Aperture Radar (CP-SAR) Measurement System” on 25 March 2009.
タイトル:円偏波合成開口レーダの測定システムの構築
宇宙からの地球観測は現在ではごく普通のことになってきている.衛星からの地球観測では光学センサー,赤外センサーなどさまざまなセンサーの種類が人工衛星に搭載されてきたが,特に近代,その高解像度やコヒーレンス特性で注目になってきているのは合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar, SAR)である.当研究室では無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle, UAV) および衛星搭載用の次世代円偏波合成開口レーダ(Circularly Polarized Synthetic Aperture Radar, CP-SAR)システムを開発している.レーダや通信分野において,アンテナは欠かせないものである.アンテナの製造はシミュレーションデータに基づいて行われるが,実際に製造されたアンテナの特性がシミュレーション通りになるかどうかを確認するために測定を行う必要がある.しかし,アンテナの放射パターンを測定するにはあらゆる角度からの測定を行わなければならないが,角度を少しずつ回転して手動で測定するという方法で行うのは非常に手間がかかる上に,ずれや人間の誤作動により精度が低くなる.そのため,これらの測定は精密機械で回転させ,自動的に測定したデータを記録させることで効率良く行うことができる. 本研究で開発されたアンテナをはじめSARの測定システムは,回転台およびそのコントローラ,標準ダイポールアンテナ,円偏波信号を放射する左旋と右旋のコニカルログスパイラルアンテナ,測定装置であるネットワークアナライザ,および全体操作を制御し測定結果を記録する計算機から成り立ち,これらの組み合わせで対象アンテナの円偏波特性を測定する.主な測定対象としては利得と軸比であり,これらの結果から放射パターンをグラフ化することもでき,またアンテナの性質は良いかどうかを知ることもできる. このシステムの一番の利点は,従来手動で行った回転させて測定するという操作を自動化し,各1度ずつの測定データを自動的に測定し記録するところである.これによって1回の測定時間は6分以内で納められ,また測定結果をExcelなどですぐ加工できるcsvの形として保存されるため結果を短時間で見ることができる.また,GUI(Graphical User Interface)も備えてあるので,命令コードなどを覚える必要がなく,コンピュータにそれほど詳しくない人にも比較的に短時間の訓練で操作できるようになる. このシステムは将来,円偏波合成開口レーダアンテナの測定に利用する予定である.また,近傍界から遠方界変換を導入することにより寸法制限のある電波無響室内でも低周波数アンテナ,または大型およびアレーアンテナの特製を測定することも可能である.